裁量労働制のというキーワードをテレビのニュースなどで見ることが多くなっています。
政府が働き方改革の一環で裁量労働制の拡大をしようとしています。政府の思惑としては裁量労働制の拡大で残業時間の減少・抑制で仕事以外の時間を増やし、消費の拡大につなげたいという事のようですがうまくいくのでしょうか。
それで、裁量労働制とはですが、
裁量労働制は労働基準法の定めるみなし労働時間制のひとつとして位置づけられており、この制度が適用された場合、労働者は実際の労働時間とは関係なく、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなされる。業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用できるとされる。
裁量労働制 | ウィキペディア
要するに、仕事の内容や量を自身で決めるということです。
聞こえは良いかもしれませんが、実際の労働の現場はそんなにうまくはいきません。
日本の仕事文化はトップダウンで降りてきて仕事の質も量も上司の言いなりにしか進みません。その結果、残業時間がばかりが増えていくだけです。諸外国の労働者の様子をテレビで見たりすることもありますが、その中では本当に自分の仕事を割り切っていたりするのでそれだと裁量労働は効果は出ますが、文化が違うので日本では諸外国のような働き方は現実的に難しいでしょう。
そして、その先には給料と仕事内容が釣り合わない結果が待ち受けています。
以下のような記事を見つけました。一例ですが、裁量労働制を採用している会社の給与例です。
今話題の【裁量労働制】が既に導入されてるIT業界で起きてること | 元IT土方の供述
基本給:130,000円
みなし残業手当(45時間):50,000円
合計:180,000円
45時間分のみなし残業代手当が付いているので、例えば月間で10時間の残業時間であっても同額をもらえるので美味しい感じもしますが、そのようなことはほとんどないのが実情でしょう。
それに、45時間を超えてもおそらく残業代が追加されないケースだと思います。そもそも、45時間で50,000円だと1時間当たり約1,111円というのもどうなのかと思いますが。。。
基本給においても定時時間の合計が月間160時間だとすると換算すると約813円です。パートタイマー並みです。
これまでの内容は極端な例ですが、裁量労働制が増えてしまうと上記のような環境で働く人の割合が増える可能性は高いでしょう。
企業の経営者側からしたら都合の良い話ですが、雇われて働いている方にとっては迷惑なだけです。会社の経営者というのは表向きには良いことを言っていると思いますが、結局は自分の会社を潰さない考えが大部分にあって、従業員の生活を守ろうという気は無いというのがほとんどだと思います。
こういうことなどがあって、日本の労働環境文化には裁量労働制で政府が思っているような残業時間の削減・抑制から消費の向上につなげることは相当難しいと思います。
このような状況を政府はわかっていて裁量労働制を拡大しようとしているのかかなり疑わしいです。どうせ、一部の大きな企業の状況しか見ていなくて、中小零細の企業の労働者の状況なんて見えていないんだと思います。
本当にやるのであれば、生活がある程度できることが保証される基本給があったり、残業代もみなし時間を超過すると追加で支払われていく仕組みを法律的にしないと政府の思惑とは反対に労働環境が悪化して日本の労働者が疲弊していくことになって逆効果の結果につながると思います。