東京オリンピック招致を成功させた究極のプレゼン

2020年の東京オリンピックを引き寄せた陰の立役者として、まずはニック・バーレー(Nick Varley)という人物を忘れてはいけないでしょう。

ニック氏は、イギリスの新聞「ガーディアン」の元記者でロンドンの国際スポーツ・コンサルタント会社「Seven46」の創業者でもあります。
Seven46のホームページ
ロンドン・オリンピック、リオ・オリンピック、そして今回の東京オリンピックと3回連続でオリンピック招致に成功し、偉業を成し遂げ、まさに、
招致請負人
といっても過言ではないでしょう。
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東京オリンピック招致のプレゼンテクニック

ニック氏が東京オリンピックを招致する際のプレゼンにおいては以下の4点が重要だったと語っています。

    1.英語・フランス語でスピーチ 2.感情を込める 3.ジョークを交える 4.笑顔を見せる

1.英語・フランス語でスピーチ
IOCの委員は英語かフランス語のどちらから、もしくは両方を話す人が多いといわれています。
日本語を用いるとプレゼンをしている人とIOC委員との間に言葉の壁ができてしまうので、たとえ発音が完璧でなくても直接伝わる方がいいのは言うまでもないでしょう。

しかし、2013年の流行語大賞にも選ばれた
「お・も・て・な・し」
だけは日本語だったのはなぜかというと、おもてなしとはだれも英語で具体的に説明ができなかった。
しかし、それが日本的な響きを引き出すことができて、インパクトが強い印象を与えることができて効果的だった。
しかも、滝川クリステルさんのアクションでより一層いい印象になりました。

2.感情を込める
プレゼンをするには役を演じる必要があり、オーバーリアクションがあるくらいがちょうどいいとされています。

前回の2009年に行われたオリンピック招致のプレゼンの際は、当時の首相の鳩山元首相や、石原元東京都知事などのプレゼンは、どちらも手のボディーランゲージなどもなく単調に終わっていた印象がありました。

やはり、今回のプレゼンのようにオーバーリアクションを取り入れたほうがスピーチ自体に動きを加えることができ、IOC委員の心も動かすことができるのだと思います。

3.ジョークをまじえる
プレゼンにジョークをまじえるのには、それぞれの国の文化にとっては誤解などを招く恐れがあるため、少しリスクがあるとされています。

しかし、世界の他国から見た日本人は真面目すぎる印象があるので、ジョークをまじえたほうが意外性を見せることができIOC委員の興味を引き出すことができたのだと思います。

4.笑顔を見せる
今回のプレゼンは全体を通してみても、本当に笑顔が多かった印象が強いです。

日本人のプレゼンは単調で感情が分かりずらいとされていたので、コミカルな表情や笑顔を徹底的に指導されていました。

その他のテクニック

その他、プレゼンの主なテクニックは
スピーチの順番
も重要だったといわれています。

これまでの日本のプレゼンは年長者や、男の偉い人が初めの順番にくることが多かったのですが、それでは形式的過ぎて面白みに欠けます。

今回のプレゼンテーションでは以下の順番でプレゼンが行われました。

1.高円宮さま 皇室
2.佐藤真海 パラリンピック選手
3.竹田恒和 招致委員会理事長
4.水野正人 招致委員会副理事長(元ミズノ代表取締役会長)
5.猪瀬直樹 当時の都知事
6.滝川クリステル フリーアナウンサー
7.太田雄貴 フェンシングオリンピック選手
8.安倍晋三 内閣総理大臣

最初に皇室の高円宮さまが登壇したことはIOC委員にとってはすごく意外だったとされています。

さらに、最後に日本の安倍首相が登壇しプレゼンを行いそれまでの”年長者や、男の偉い人が初めの順番”が覆されたことも招致成功の秘訣だったようです。

その他にもプレゼンの極意としては
聴衆を知る
も重要だったとされています。

つまりプレゼンを誰に聞かせているかというのを意識する必要があったようです。

今回では、IOC委員の会長はジャック・ロゲ(Jacques Rogge)氏です。

そして、ユース五輪はそのロゲ氏が肝いりで始まった大会なので、佐藤優香さんというユース五輪の金メダリストをスピーチはしなくても登壇させることで、ロゲ氏に「日本はユース五輪も大事にしている」と印象を持たすことにもつながりました。

最後に、プレゼンにもっとも大切なこと

それは、
スピーチの練習を積み重ねる
ことだとニック・バーレー氏は伝えています。

なんか当たり前のようなことなのですが、本当これは重要なことだと思います。

他国の言語でスピーチすることも並大抵の練習ではできないですし、大きな身振り手振りを時々入れるタイミングも練習が少なければ自然には感じることもできないでしょう。

プレゼンの神様と言われていた、あのスティーブ・ジョブズでさえもiPhoneなどの製品発表では相当の練習を積み重ねていたというのは有名な話です。

スティーブ・ジョブズはショーマンだ。舞台を細かく作りこんでくる。
動き、デモ、映像、スライド、その一つひとつがかっちりかみ合う。
ジョブズは自信を持って気楽にプレゼンテーションをしているように見える。
少なくとも聴衆にはそう見える。その秘訣は・・・・
何時間もの練習にある。いや、正確に言おう。一日何時間もの練習を何日もするからだ。

話は少し逸れましたが、最後に伝えたいことは、2020年東京オリンピック招致成功の最大の要因は
最高のプレゼンができた!
これに尽きると思います。